看護師のための精神看護ナビ

精神科看護実習でよくみられる症状

精神疾患を持つ患者さんのアセスメントには、
症状の理解を欠かすことができません。

 

錯覚
錯覚(サッカク)、その場に実際あるものを元とは違った形で誤って知覚することです。

健康な人でも、「不注意錯覚」や、
木の枝がミミズに見えたりヘビに見えるような「感動錯覚」が起こります。

 

病的な錯覚は、主に「統合失調症」にみられます。
壁のシミが人の顔に見えたり、敵が変装して自分を騙そうとしていると怯えたりします。

 

看護師は、患者さんが安心できるようなかかわりと環境調整を行います。
また、錯覚に該当したスタッフが、関わりを避ける事もあります。

幻覚
幻覚(ゲンカク)とは、実際には存在しないものを知覚することです。

幻覚には、幻聴、幻視、幻触、幻味などがアリアmス。

 

看護師は、幻覚の内容を関わりの中から把握していくことが必要です。

 

ですが、幻覚の内容は、無理に聞きだそうとしてはいけません。

 

現実生活の話題に持って行くように関わり、関心をほかにうつすようにしていきます。

 

日常生活の支障の有無についてもアセスメントし、
食事、排泄、睡眠などについて必要な支援を行います。

妄想
妄想(もうそう)とは、現実でないことを事実であるとし、

非合理的で誤った認識や判断をするものです。

 

患者さんはそれを正しいと確信していますから、訂正することはできません。

 

妄想には、被害妄想、微小妄想、誇大妄想などがあります。

 

妄想によって、様々な言動が引き起こされます。
その内容を否定したり訂正したり、感情的に批判したりしてはいけません。

 

看護師は、症状に伴う苦痛を受け止め、安全な環境を整えます。

 

そして、簡潔で明瞭な情報を、誤解のない様に具体的に伝えることが必要です。

 

患者さんの健康的な部分に働きかけ、健全な行動を支持します。

感情鈍麻
感情鈍麻(カンジョウドンマ)とは、周りに対して無関心で、

感情を表すことに乏しい状態を言います。

 

統合失調症などにみられ、喜怒哀楽の感情だけでなく、
身体的な刺激への反応も鈍くなり、身体的な不快や劣悪な環境も気にならなくなることがあります。

 

看護師は、患者さんとの距離を保つようにしながら、
レクリーションなど興味があれば参加するように促したり、
適切な刺激のレベルを考え、整えていくことが必要です。

思考過程の障害
思考過程の障害には、次から次へと考えが頭に浮かび、

話題がコロコロ変わる思考(観察)奔逸や、
話をしている途中に突然考えが途絶え黙りこんでしまう思考途絶などがあります。

 

滅裂思考は、話題が次々と転じ、それぞれの関連が損なわれ、
まとまりのない状態になります。

 

また、つながりのない単語が雑然と並べられただけの
「言語のサラダ」と呼ばれる状態がみられることもあります。

 

患者さんとのコミュニケーションがうまくいかない場合は、
看護師だけの考えや価値観を押し付けてはいけません。
チームで情報を交換する事も大切ですし、
患者さんの思いや苦痛の理解に努めることが必要です。

作為体験
作為体験(サクイタイケン)とは、「させられ体験」ともいいます。

誰かに操られているように、自分自身の意思とは関係なく、何らかの行動をしてしまいます。

 

自分の意思や判断とは無関係に行動してしまうため、
自殺企図や自傷・他害などの行動が誘発される事もありますし、
ほかの患者さんとのトラブルになってしまうことも少なくありません。

 

看護師は、適切な注意と観察を行い、患者さんの安心を確保し、
ほかの患者さんから注目を集めすぎないように配慮することが必要です。
そして、安全に過ごすことができる環境を整え、提供します。

 

また、問題を未然に防ぐため、チーム内で対処法を統一しておくことも必要です。

 

医師への報告、ご家族への説明も適宜行い、病気そのものに対することへの理解や、
治療や療養に対するものの理解と協力を仰ぐ事も大切です。

強迫行為
強迫行為とは、特定の考えがくり返し頭に思い浮かびあがる「強迫観念」によって、

不安や恐怖などの不快感が生じることを一時的に軽くしようとする行為です。

 

たとえば、鍵を閉めたかどうかを自分で何度も確かめたり、
人に何回も尋ねるなどの「くり返し行為」、
完全にこのとおりにしないと安心できないなど、「儀式行為」などがあります。

 

看護師は、医師の治療方針を確認し、するべき役割を理解します。
その上で、強迫行為を行うことによって不安から逃れようとする患者さんに対し、
関わっていくことが大切です。

 

患者さんの治療への協力と家族が疾病を理解していくことができるように
関わっていく事も大切です。

意識変容
せん妄とは、興奮・歩き回る行動・奇異な言動がある意識障害です。

 

身体疾患や薬物・アルコールの影響、心理・社会的ストレスなど、
様々な誘因が考えられます。

 

状態に波があるのも特徴で、夜に限ってせん妄状態になることを「夜間せん妄」といいます。

 

意識のもうろう状態では、意識の範囲が狭くなり、
注意力や判断力が低下し、不安や唐突な行動を伴うことがあります。

 

せん妄と比べると興奮は少なく、ややまとまった考えや行動を示しますが、
健忘(ケンボウ)を残す事もあります。

 

意識変容のある患者さんに対しは、その原因を検討するとともに、
完全に休める環境づくりをすること、休める環境を提供することが必要です。
状態によっては、水分や栄養の管理が必要です。

昏迷
昏迷(コンメイ)とは、他者からの反応も、自発的にも活動のない状態です。

ですが、意識は失われていません。

 

一見、精神活動が全く停止しているように見えますが、
意識障害はなく、周囲の状況は記憶されていますから、
医療者は、行動や言動に注意する必要があります。

 

昏迷の患者さんに対する行動を促そうとする積極的な働きかけは禁物です。

 

個室に移すなど、ほかの患者さんからの刺激を避け、安全な環境を調整します。

 

また、全身状態の観察を行い、特に循環障害に注意して、
体位変換に努めます。

 

急に昏迷状態から脱する事もあるので、
転倒や転落、自傷行為などにも注意し、継続した看護をすることが必要です。

 

患者さんの拒否的な傾向がみられますが、
苛立ちや焦りがケアする態度に出ないよう、ゆっくりと関わることが求められます。